しあわせの見つけかた
この世界には、たくさんのものがあふれてる、
きっとぼくら、王様みたいに幸せだ。
本当に、このとおりですよね。
この世界には幸せがあふれています。誰も彼もが幸せになれるくらい、たっぷりと。
自分のところにやってきた幸せを受けとめる気もちさえあればいいのです。
タイトルこそ知ってましたが、読んだことはありませんでした。まぁ男ですから、ある意味仕方ないのかもしれません。
ですが今回、生徒から薦(すす)められたのをきっかけに読んでみたところ、あまりのおもしろさにビックリしました。
歴史に残る本には、なにかがありますね。
あしながおじさん
幸せの秘訣(ひけつ)は、柔軟(じゅうなん)な心を持っているかどうかにかかっていると思います。
とくに、ここのような田園では、その気になれば楽しめることがいっぱいあります。あちこち自由に歩きまわって、いろんな景色を眺めて、名もない小川の水をバシャバシャ跳ね飛ばして・・・。
わたし、だいじなのは、とびっきり大きな歓(よろこ)びを得ようとすることではないと思います。だいじなのは、小さな歓びを最大限に楽しむことだと思います。
おじさま、わたし、幸福の真の秘訣(ひけつ)を発見しました。それは、いまこのときを生きることです。
過去をいつまでも悔やむのではなく、未来を待ちこがれるのでもなく、いまこの瞬間を最大限に楽しむことです。
一分一秒も無駄にせず楽しみ、楽しんでいることを自覚しながら生きたいと思います。
ほとんどの人は、生きるのではなくて競争をしています。遠い地平の目標に到達しようとがんばっているうちに息が切れて、いま通過している周囲の美しくて穏(おだ)やかな景色が見えなくなってしまうのです。
そして、気づいたときには、もう年を取って疲れてしまって、目標に到達できるかどうかなんて、どうでもよくなっているのです。
わたしは途中で腰を下ろして、小さな幸せをいっぱい積み上げるほうを選ぶことにしました。
「あしながおじさん」は、作中でもふれられているとおり、アメリカに婦人参政権が認められていなかった時代の作品です。
この小説からは、生きづらい世の中を少しでも変えたいという、ウェブスターの思いも見えてきます。
作者のジーン・ウェブスターは、39歳という若さで亡くなってしまいました。残念としか言いようがありません。
もっともっと長生きして、さまざまな作品を発表してほしかった作家のひとりでしたね。