高橋源一郎さん大いに語る
ふつうの小説、近代文学は「かっこいい個人を描く」んです。
能力のある秀(ひい)でた個人、ハムレットやカラマーゾフの兄弟のように。
ようするに「スターシステム」と一緒。大河ドラマになるような人物が主人公になるんです。
小説って夢を見るために読むんです、現実を忘れるために。
本当にリアルなことを突きつけてくる小説は、作家からも評論家からも読者からも、きらわれたりするんです。
だけど、
ヒーローじゃない、庶民を描く作家もいる。それが橋本治さんだ、と高橋源一郎さんがおっしゃってました。
残念ながらわたしは橋本治さんの小説を読んだことはありませんが、野坂昭如さんの小説も庶民を描いていると思います。
火垂るの墓 野坂昭如
アニメ映画にもなった「火垂るの墓」の兄妹は、ヒーローでも何でもありません。ふつうの、どこにでもいる男の子と女の子です。
もしもこの兄妹がヒーローならば、両親の死を乗り越えて、戦争の焼け野原から一念発起して、大成功を収める物語となったことでしょう。
ですがそうはなりませんでした。戦争という現実に苦しんだ「火垂るの墓」の兄妹は、ある意味コロナで苦しんでいるあなたであり私なのかもしれません。
小説と同じように演劇にもいろんなジャンルがあります。夢見るものからリアルな作品まで、多彩な演技ができる声優を目指して頑張ろうね。
高橋源一郎さん、すごいです。
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