川端康成にも失敗作がある?
海の火祭 川端康成
川端康成全集第二十二巻の解説によると「海の火祭」は失敗作であると川端自身が認めているようです。
「海の火祭」は川端が28歳の時に発表した作品です。
生意気を承知で言わせてもらいますと
他の川端文学と比べてみると失敗作というより、登場人物の行動描写など、いろんな意味で作者の「若さ」を感じさせる作品でした。
逆に言うと、ノーベル文学賞を受賞した川端康成も、最初から天才だったわけではなく、人生経験を積み重ねることですごい作家になったのがわかる小説でした。
川端康成はエジソンの名言「天才とは1%のひらめきと99%の努力」を地で行く人物だったのでしょう。すごいです。
その名言は、「エジソンを取材した記者が大衆ウケを狙って改編したもの」って説があるの知ってる
他にもある?失敗作
失敗作だと川端自身が認めている作品に「浅草紅団」があります。
続編の「浅草祭」から引用させていただきますね。
浅草祭 序
この続稿の読者は、前編を参照下さるもよいが、前編未見のままでも、一向差支えない。
寧(むし)ろ前編は読まれぬ方が幸いである。
私はその前編を、今五年振りで読み返してみたのだ。続稿を書くためには、必要やむを得なくてである。
「浅草紅団」はともかくなにかと評判にはなったので、作者自らもそれにまどわされ、幻影を描いておって、作品の実体を忘れていたのではないかと疑われた。不明を恥ずるほかはないが、書きっ放しで、昨日の作品を顧(かえり)みぬ私には、ありそうなことである。
私は僅(わず)か二百頁(ページ)ばかりの旧作を略読(りゃくどく)するのに、四日も費(ついや)した。
「嘔吐(おうと)を催(もよお)すほど厭(いや)であった。」
なぜこんなものの続きを書くつもりになったかと後悔した。しかし実際、「浅草紅団」がこれほど下らない作品とは、私自身夢にも思わなかったのである。
まぁ照れや謙遜もかなり混じっているんだとは思いますが、
川端康成の文章は、きれいなだけでなく、かなりユーモラスです。なんか笑えます。すごいですね。・・・って、そう思ってるの私だけかな。