ワークショップ 声優演技研究所 diary

「なんで演技のレッスンをしてるんですか?」 見学者からの質問です。 かわいい声を練習するのが声優のワークショップと思っていたのかな。実技も知識もどっちも大切!いろんなことを知って演技に役立てましょう。話のネタ・雑学にも。💛

奔放な女性たち川端文学

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これってつまり女たちの浮気の描写です。

舞姫 川端康成

ぜいたくと言われた女学校を、波子は出ていて、名家や富家にとついだ、友だちが多かった。

そういう家庭は、敗戦による、転落がはなはだしく、また、所帯じみないで来たために、中年の女になりながら、旧道徳の動揺に、よけいもまれた。

波子と矢木の場合のように、夫をあてにしないで、妻のさとの仕送りに頼って、暮していた友だちも、少なくなかったが、そういう夫婦も、おおかた安定をうしなった。

「結婚はみんな、一つ一つ非凡のようですわ。・・・平凡な人が二人寄っても、結婚は非凡なものになりますのよ。」

と、波子が竹原に言ったのには、これらの友だちの例を見た、実感がこもっていたのだ。

夫婦生活を守る、古い垣根(かきね)と土台とがくずれたので、平凡なからをやぶって、本来の非凡が、あらわに出た。

人間は自分の不幸によってよりも、他人の不幸によって、あきらめを教えられるものだというが、波子の教えられたのは、あきらめばかりではなかった。

人のことにおどろいて、わがことに目ざめもした。

一人の友だちは、ほかの男を愛したおかげで、その人と別れた後に、初めて夫と結婚のよろこびを知った。

また一人の友だちは、二十代の恋人のせいで、夫にたいしても、急に若返ったが、若い男に遠ざかると、夫にも冷やかになってしまって、かえって疑われたから、またよりをもどして、夫にそそぐ愛を、よその泉からくんで来ている。

どちらの友だちの夫も、妻の秘密はかぎつけていない。

波子の友だちが集まっても、こんな打ち明け話をすることは、戦争の前にはなかった。

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おいおい、主人公の波子だけじゃなく、友だちもみんな浮気してるのかよ。f:id:seiyukenkyujo:20190913102311g:plain

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なんか、すご・・・。

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戦争が終わって、古い道徳が崩れて、夫のいる妻たちが浮気に走った・・・というのは初耳です。

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黒澤映画「生きものの記録」では、戦争のせいで、男が減り、戦争で夫を亡くした女性が増えるなど、男女の数のバランスがくずれたため、お金に余裕のある三船敏郎が演じる主人公は、お妾さんをかこっていました。

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そういうことは実際にあったようです。

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ただ、女たちの浮気に関してはどうなんでしょうね。もし事実だとしても「どちらの友だちの夫も、妻の秘密はかぎつけていない。」とあるように、表立って知られてはいないと思われます。

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以上、川端文学に登場する奔放な女性たちでした。

参考
舞姫 新潮文庫

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www1.odn.ne.jp

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