ワークショップ 声優演技研究所 diary

「なんで演技のレッスンをしてるんですか?」 見学者からの質問です。 かわいい声を練習するのが声優のワークショップと思っていたのかな。実技も知識もどっちも大切!いろんなことを知って演技に役立てましょう。話のネタ・雑学にも。💛

メソッド演技と棒ゼリフ

結論から言うと、正解でした

私たちは 【ステラ・アドラー 魂の演技レッスン22】 を読んで、「日本の有名な劇団が、棒ゼリフの練習を取り入れているのはメソッド演技の影響」と推測しましたが・・・

正解でした。

それは、グループ・シアターで、ハロルド・クラーマンと リー・ストラスバーグ、そしてスタニスラフスキーのもとで学んだステラ・アドラーを通してメソッド演技を学んだ、【サンフォード・マイズナーの著書】に掲載されていました。

抜粋させていただきます。

十一月十七日

「今日は、驚かすものがある――台本だ、時代遅れの骨董品だけど。しかし、シーンの一つひとつには、心を動かさずにはいられない人間の問題が含まれている。これが、これらのシーンを私が選んだ理由だ。

みんなは、意味をとったり、解釈したり、注釈をいれたりしないで、台本を覚えてほしい。機械的にせりふを覚えるだけだ。

はっきりさせておこう。 『生・き・る・べ・き・か・死・ぬ・べ・き・か・そ・れ・が・問・題・だ』 」

マイズナーはこの有名なせりふを淡々と暗唱しながら、机の上を音節ごとに手で叩いた。

「つまり、脚韻なんか踏まない、ただの冷たいテキストだ。

そして、それを機械的に覚えたら、気楽にパートナーと散歩でもすること。どこを歩いてもかまわない。そして、もう一度テキストを、最初からやってみる。

もし立ち止まってコーヒーが飲みたくなったら、かまわないから飲みながらやっていい。そして、店員たちを驚かしてやるんだ。

『あいつら自分のいっていることがわかってないんじゃないの!ロボットみたいにしゃべっているぜ!』 ズボンが脱げるほど彼らを驚かしてやるんだ。」

十一月二十一日

淡々と機械的な精密さで。ジョンとラルフは 『ミスター・ロバーツ』 の1シーンを暗唱したところだった。

「いいよ」 マイズナーが話し始めた。

「彼らはひどく奇妙な言い方で、せりふをいった。そうだな。そこには意味もないし、解釈もない。この機械的な暗唱法から、人間的な経験を得ることは何もない。

さて、私がいっていることに疑問を感じている人はいるか。ベティ、君の疑問は何だ。」

「ブルースと練習しているとき、ふっと感じたことがありました。

機械的な暗唱法でやると、それが生のままで加工されていないので、感情を無制限に加えられると思います。

なぜなら、ある種の解釈に安易に固執することがないからです。」

「いいことをいうな。 『生のまま』 そうだ。 『生のまま』 だ。

私は、計算された結果を避けるために、この機械的な取り組み方にこだわっている。ジョン、何かあるか。」

「ぼくには難しいと思います」 ジョンがいった。

「君には難しいのか。」

「ここにくる途中、練習してきたんですが、ラルフがときどきいうんです。 『君は解釈している。それは解釈しているんだ』

ぼくは、これまでずっとやってきたパターンに、おそらく落ち込んでいるんです。」

マイズナーが答えた。

「そのとおりだ。私は、いま君がいった、俳優人生の中で身についた君の癖(くせ)を取り除こうとしている。

私は、君自身の中から、せりふの感情的な把握から出てくる演技を作り上げようとしている。そのために君を無色で、意味をもたず、非人間的なものにすることにした。ロボットと呼んでもいい。

そのせりふを感情面の真実で満たすためには、君は、最初はせりふを淡々と、表現をつけず、完全に無色な方法で覚えなければいけない。


参考文献
「サンフォード・マイズナー・オン・アクティング ネイバーフッド・プレイハウス演劇学校の1年間」 而立書房

今日は真っ先に生徒たちにこの報告をしちゃいました。

生徒たちも自分のことのように喜んでくれて、とってもうれしかったです。

そんなこんなで、今日も楽しいレッスンが出来ました。

また来週も、よろしくね。



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